2021年6月24日 / 最終更新日時 : 2021年6月25日 touzainozomu 詩歌漫遊 迫りくる楯怯えつつ怯えつつ確かめている私の実在 道浦母都子 ◯歌集『無援の抒情』(1980)所収。巻頭歌。60年代末期の学生運動、デモ隊をくむ学生に機動隊の楯がじりじりとせまってくる。デモ隊にいる女学生はおびえながらもその場にとどまり立ちむかうことで、生の重み、律動を確かめている […]
2021年6月20日 / 最終更新日時 : 2021年6月20日 touzainozomu 詩歌漫遊 ますらをや片恋せむと嘆けども醜のますらをなほ恋ひにけり 舎人皇子 ますらをや片恋かたこひせむと嘆けども醜しこのますらをなほ恋ひにけり 舎人皇子 〇『万葉集』巻二・一一七。舎人皇子は天武天皇の第三皇子で、『日本書紀』の編纂にも関わった。「ますらを」は立派な男子。ここでは […]
2021年6月16日 / 最終更新日時 : 2021年6月20日 touzainozomu 詩歌漫遊 おもひなく夜の駅出でてわれ歩むぬかるみは刃のごとく氷れり 宮柊二 歌集『日本挽歌』(1953)所収。「孤独」より。凍てつくような冬の夜、仕事帰りだろうか、ぼんやりと駅を出てあるいてゆくとぬかるみが氷りついている。それが「刃のごとく」みえるのは、作者のこころに何かさしせまるものがあるから […]
2021年6月16日 / 最終更新日時 : 2021年6月20日 touzainozomu 詩歌漫遊 いたづらに身をぞ捨てつる人を思ふ心や深き谷となるらん 和泉式部 いたづらに身をぞ捨てつる人を思ふ心や深き谷となるらん 和泉式部 訳)いたづらに わが身を捨ててしまった。 人を恋慕する この心こそが深い 谷となるのだろうか 『和泉式部集』上、恋。和泉式部は平安中期の […]
2021年6月11日 / 最終更新日時 : 2021年6月12日 touzainozomu 詩歌漫遊 蟻の国の事知らず掃く箒哉 高浜虚子 蟻の国の事知らず掃く箒哉 高浜虚子 ◯季語は蟻(夏)。図鑑をひらくと、おどろくほど巧緻なアリの巣がびんのなかにつくられている図が見られる。いくつもの部屋に仕切られていて、アリがおのおのの役割を担いつつ女王アリに仕えてい […]
2021年6月9日 / 最終更新日時 : 2021年11月29日 touzainozomu 詩歌漫遊 ゆふだちのはげしかりつる名残かな晴れゆく軒にのこる白露 慈円 ゆふだちのはげしかりつる名残なごりかな晴れゆく軒のきにのこる白露しらつゆ 慈円 訳)夕立ちが はげしく降った なごりがあるよ 晴れてゆく軒端に しら露がひかっている &nbs […]
2021年6月9日 / 最終更新日時 : 2021年6月9日 touzainozomu 詩歌漫遊 さみだれの晴れ間も見えぬ雲路より山ほととぎす鳴きて過ぐなり 西行 さみだれの晴れ間も見えぬ雲路くもぢより山ほととぎす鳴きて過すぐなり 西行 訳)五月雨どき なかなか晴れない 雲のみちを 山ほととぎすが 鳴きながら過ぎてゆくようだ   […]
2021年6月6日 / 最終更新日時 : 2021年6月6日 touzainozomu 詩歌漫遊 迷ふべき方も今無し行くほどにすべて心の故郷となる 與謝野寛(鉄幹) 〇『老癡集』(1934年)より。鉄幹晩年の作。若くして名を挙げ、壮烈な歌風で若者を魅了したが、その生涯は不遇だった。周囲からは追いやられ、さらにとなりには晶子という大歌人がいて、その存在はうすまるばかりであった。しかし、 […]
2021年6月6日 / 最終更新日時 : 2021年12月25日 touzainozomu 詩歌漫遊 早苗取る山田の懸樋もりにけり引くしめ縄に露ぞこぼるる 源経信 早苗さなへ取る山田の懸樋かけひもりにけり引くしめ縄に露ぞこぼるる 源経信つねのぶ(一〇一六~一〇九七) 訳)早苗をとる 山間やまあいの田の懸樋から 水がもれていたのだな 張ったしめ縄に […]
2021年6月3日 / 最終更新日時 : 2021年12月25日 touzainozomu 詩歌漫遊 花散りし庭の木の葉も茂りあひて天照る月のかげぞまれなる 曾禰好忠 花散りし庭の木の葉も茂りあひて天あま照る月のかげぞまれなる 曾禰そねの好忠よしただ(生没年不詳。一〇〇三年生存) 訳)花の散った 庭の木の葉も こんもりと茂ったので 空たかくから照る月 […]