2021年11月26日 / 最終更新日時 : 2021年11月27日 touzainozomu 詩歌漫遊 筑波嶺の嶺ろに霞ゐ過ぎかてに息づく君を率寝てやらさね 東歌・常陸国歌 筑波嶺の嶺ねろに霞ゐ過ぎかてに息づく君を率ゐ寝ねてやらさね 東歌・常陸国歌 訳)筑波山の 峰にかかる霞、たぢろぎもせず 過ぎ去るのもためらい 嘆きの息をつくあのお方を、さあ、 連れてきてい […]
2021年11月24日 / 最終更新日時 : 2021年11月24日 touzainozomu 詩歌漫遊 秋の田の穂の上に霧らふ朝霞いつへの方に我が恋やまむ 磐姫皇后 秋の田の穂の上へに霧きらふ朝霞いつへの方に我が恋やまむ 磐姫いわのひめ皇后おほきさき 訳)秋の田の 稲穂の上にたちこめる 朝霞 行く末見えぬその景色 そしてわたしの恋ごころ、どこへ晴らせばい […]
2021年11月20日 / 最終更新日時 : 2021年11月20日 touzainozomu 詩歌漫遊 君待つと我が恋ひをれば我がやどの簾動かし秋の風吹く 額田王 君待つと我あが恋ひをれば我がやどの簾すだれ動かし秋の風吹く 額田ぬかたの王おほきみ 訳)あなたのおとずれを 恋しく待ちわびていると わたしの家の 簾をうごかして 秋の風が吹き去ってゆきます […]
2021年11月15日 / 最終更新日時 : 2021年11月15日 touzainozomu 詩歌漫遊 醫師は安樂死を語れども逆光の自轉車屋の宙吊りの自轉車 塚本邦雄 醫師いしは安樂死を語れども逆光の自轉車屋の宙吊りの自轉車 塚本邦雄(1920〜2005) ◯歌集『綠色硏究』(1965)所収。苦しみながら生き永らえるのと、安らかに死におもむくのとどちらが正 […]
2021年11月12日 / 最終更新日時 : 2021年11月24日 touzainozomu 詩歌漫遊 頑と右向く鳥の頸わがうちに鎮めしずめて搬びて行くも 岡井隆 頑と右向く鳥の頸わがうちに鎮めしずめて搬びて行くも 岡井隆(1928〜2020) ◯歌集『朝狩』(1964)所収。まっすぐ向けようとしても頑として拒み、右を向く鳥がいる。くびは、びくとも動 […]
2021年11月7日 / 最終更新日時 : 2021年11月7日 touzainozomu 詩歌漫遊 衾さへいとおもげなる老の身のぬるがうへにもぬるねこまかな 大隈言道 衾さへいとおもげなる老の身のぬるがうへにもぬるねこまかな 大隈言道(1798〜1868) 訳)寝具でさえ たいそう重くおもわれる 老いたこの身 寝ているその上に 寝ている猫だよ ◯『草径集』巻上。大隈言道は江戸末期の […]
2021年11月3日 / 最終更新日時 : 2021年11月3日 touzainozomu 詩歌漫遊 植ゑし植ゑば秋なき時や咲かざらむ花こそ散らめ根さへ枯れめや 在原業平 植うゑし植ゑば秋なき時や咲かざらむ花こそ散らめ根さへ枯れめや 在原業平 訳)まごころこめて植えたらならば 秋が来ない時も 咲かない、なんてことがありましょうか 花はやがて散ります、それでも […]
2021年10月31日 / 最終更新日時 : 2021年10月31日 touzainozomu 詩歌漫遊 誰そ彼れと我をな問ひそ九月の露にぬれつつ君待つ我を 柿本人麻呂歌集 誰たそ彼かれと我をな問ひそ九月ながつきの露にぬれつつ君待つ我を 柿本人麻呂歌集 二二四〇 訳)だれだろうあれはと わたしを指さないでください、あなた 九月の つめたい露にぬれ […]
2021年10月29日 / 最終更新日時 : 2021年10月31日 touzainozomu 詩歌漫遊 さ雄鹿の妻ととのふと鳴く声の至らむ極みなびけ萩原 作者未詳 さ雄を鹿しかの妻ととのふと鳴く声の至らむ極みなびけ萩原 作者未詳 訳)雄鹿が 妻をあつめようと 鳴く声が 果ての果てまでとどけ そしてなびけ、萩原よ、妻たちよ ◯『万葉集』巻十 […]
2021年10月26日 / 最終更新日時 : 2021年10月26日 touzainozomu 詩歌漫遊 思ふことさしてそれとはなきものを秋の夕べを心にぞ問ふ 宮内卿 思ふことさしてそれとはなきものを秋の夕べを心にぞ問ふ 宮内卿 訳)おもい憂えること とりたててあるわけでは ないはずなのに。 秋の夕べというものはなんなのでしょう こころに独り問う &nb […]