くるくると天地めぐるよき顔も白の瓶子も酔ひ舞へる身も 若山牧水
くるくると天地めぐるよき顔も白の瓶子も酔ひ舞へる身も 若山牧水 (1885~1928)
◯『別離』(1910)所収。牧水は、酒に生き酒に死んだ歌人で、日本の李白ともいうべき存在だ。旅・恋・酒というのは、古今東西を通じて詩人の三宝みたいなものだが、どれを詠んでも牧水は一頭地を抜きんでいた。こんな風に酔ってみたい。
とろとろと琥珀の清水津の国の銘酒白鶴瓶あふれ出づ
女ども手うちはやして泣上戸泣上戸とぞわれをめぐれる
酔ひ痴れて酒袋如すわがむくろ砂に落ち散り青海を見る
やまひには酒こそ一の毒といふその酒ばかり恋しきは無し
酔ふもまたなににかはせむすべからく酒を棄てむとおもひ立ちにき