2021年8月29日 / 最終更新日時 : 2021年8月29日 touzainozomu 詩歌漫遊 石麻呂に我物申す夏痩せに良しといふものそ鰻捕り食せ 大伴家持 石いし麻呂まろに我われ物申ものまをす夏なつ痩やせに良しといふものそ鰻むなぎ捕とり食めせ 大伴家持 三八五三 訳)石麻呂どの ひとつ物申したいと存じます 夏痩せに 良く効くとかいう 鰻を捕 […]
2021年8月25日 / 最終更新日時 : 2021年8月27日 touzainozomu 詩歌漫遊 筑波嶺のをてもこのもに守部すゑ母い守れども魂そあひける 常陸国歌 筑波嶺のをてもこのもに守部すゑ母い守れども魂そあひける 東歌・常陸国 三三九三 訳)筑波山の あちらこちらに 番人を据えて 母はわたしを監視する。けれど たましいはもう出会ってしまったのです ◯『万葉集』巻十四。「をて […]
2021年8月23日 / 最終更新日時 : 2021年8月25日 touzainozomu 詩歌漫遊 多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだかなしき 東歌・武蔵国の歌 多摩川にさらす手作てづくりさらさらに何なにそこの児のここだかなしき 東歌・武蔵国の歌 [三三七三] 訳)多摩川にさらす 手織りの布、さらさらと さらにさらに この児が愛かなしいのは どういう […]
2021年8月17日 / 最終更新日時 : 2021年8月16日 touzainozomu 詩歌漫遊 真砂なす数なき星の其の中に吾に向ひて光る星あり 正岡子規 真砂なす数なき星の其の中に吾に向ひて光る星あり 正岡子規(1967〜1902) ◯『竹乃里歌』所収。明治33(1900)年作。「真砂」はこまかい砂。「浜の真砂」で、数が多いことをたとえていう。ゆえに、「数なき」は数が […]
2021年8月16日 / 最終更新日時 : 2021年8月16日 touzainozomu 詩歌漫遊 来て見れば長谷は秋風ばかりなり 夏目漱石 来て見れば長谷は秋風ばかりなり 夏目漱石(1867〜1916) ◯明治30(1897)年の作。「長谷」は鎌倉市長谷のこと。かの鎌倉大仏のあるところ。秋風のさびしさとひと気ない長谷の情趣深さがあいまって、どこか滑稽味を […]
2021年8月12日 / 最終更新日時 : 2021年8月12日 touzainozomu 詩歌漫遊 夏虫の身をいたづらになす事もひとつ思ひによりてなりけり 読人しらず 夏虫の身をいたづらになす事もひとつ思ひによりてなりけり 読人しらず 五四四 訳)夏の虫が、飛んで火に入り 身をいたづらに ほろぼすことも わたしと同じく「おもひ」といふ火に 誘はれてのことだったのだ […]
2021年8月8日 / 最終更新日時 : 2021年9月3日 touzainozomu 詩歌漫遊 乞食かな天地ヲ着たる夏衣 其角 乞食かな天地ヲ着たる夏衣 其角 (1661〜1707) ◯『虚栗(みなしぐり)』所収。其角は芭蕉の高弟で、生粋の江戸っ子。奇想をもっておどろかせるような句が多い。とはいえ、それだけにはとどまらない人物。 […]
2021年8月6日 / 最終更新日時 : 2021年8月6日 touzainozomu 詩歌漫遊 立ちて思ひ居てもそ思ふくれなゐの赤裳裾引き去にし姿を 作者不詳歌 立ちて思ひ居ゐてもそ思ふくれなゐの赤裳あかも裾すそ引き去いにし姿を 作者不詳歌 (二五五〇) 訳)立っては思い 座っては思います くれないの 赤い裳の裾をひいて […]
2021年8月4日 / 最終更新日時 : 2021年8月6日 touzainozomu 詩歌漫遊 くるくると天地めぐるよき顔も白の瓶子も酔ひ舞へる身も 若山牧水 くるくると天地あめつちめぐるよき顔も白の瓶子へいしも酔ひ舞へる身も 若山牧水 (1885~1928) ◯『別離』(1910)所収。牧水は、酒に生き酒に死んだ歌人で、日本の李白 […]
2021年8月2日 / 最終更新日時 : 2021年8月2日 touzainozomu 詩歌漫遊 旅人の分くる夏野の草しげみ葉末に菅の小笠はづれて 西行 旅人の分くる夏野の草しげみ葉末はずゑに菅すげの小笠をがさはづれて 西行 訳)旅人が 分けてゆく夏の野原 草が高く茂っているからか 葉末に菅の小笠が浮かび上がって まるではずれているよう […]