大名を馬からおろす桜哉  小林一茶

○前書に「上野」。文政七年、一茶が六十二歳のときの句。権力者は命令をする。かれらは高いところから低き者を見おろす。でもそれは人間界のはなし。上野の桜はかれらを馬からひきずりおろす。「おろす」の語がきもで、大名という権力者をたやすく招く桜のすがたをユーモラスに描くと同時に、風雅心をもった大名への親しみの情もほのめかしている。当世風にいえば、「リムジンの大臣おろす桜哉」といったところでしょうか。そんな大臣がいたらお目にかかりたいものです。

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