詩歌漫遊 序
ここでは気儘にぼくの好きな詩歌をあげていきたいと思います。
おもに和歌が多くなるでしょう。ぼくがもっとも親しんでいる詩型だからです。でも、ほかに俳句や歌謡それに漢詩も取りあげたいし、近現代の詩も紹介したい。さらに乏しい語学力のゆるす限り外国の詩にもふれてゆきたい。その場合ぜんぶを載せることはむずかしいでしょうから、作品への冒涜とは重々承知しながらも、一部分を切りとって鑑賞することになるでしょう。
ぼくの念頭にあるのは藤原公任の『和漢朗詠集』と大岡信氏の『折々のうた』です。詩歌のアンソロジーにおける両氏の志を受けついで、ぼくなりに詩歌とはどのようなものであるかを追求したい。鑑賞し、味わい、学びたい。そして多くの人と共有したい。人びとが「ことば」によって表現してきた美や真実を後世に伝えたい。だんだん大袈裟になってきました。まあ、詩歌をたのしみたいだけです。
古典や外国の詩には可能な限り日本語訳をつけるつもりです。ただぼくは高卒の素人にすぎませんからまちがいもあるでしょう。きびしいご指摘などがあれば幸いです。
身のまわりに読書を好む人はほとんどいませんでした。まして詩歌に親しんでいる人など絶無でした。それで一向にかまいません。ぼくはしゃがみこみながら江湖にむけて小石を投げつづけるだけです。童心をゆたかに、ことばの手ざわりに喜びを感じただ抛ってゆきます。それだけで自足したあそびです。となりに誰かがいればもっと愉しくなるものなのでしょうか。